本領域の生態系班 研究協力者 総合研究大学院大学 高橋啓伍さんが、日本珪藻学会第40回大会において、最優秀発表賞を受賞いたしました。
受賞件名:「南極沿岸域における海氷生成期のアイスアルジー群集組成」
受賞内容: 夏季のアイスアルジーの現存量を決定する要因として①海氷生成期に水中から取り込まれる植物の量、②夏季までの海氷内での成長が考えられる。本研究では、海氷への取りこみに種の違いはあるか、海氷生成から夏季までに海氷内でどのような種遷移が起きているか推測することを目的とした。生成期のアイスアルジーは水中の組成を反映していたが、濃縮率 (水中に対する海氷中の現存量の比) は観測点ごとに大きく異なった。夏季のアイスアルジー群集とも比較を行い、夏季までに海氷内で中心目 (Dactyliosolen属、Corethron属、Chaetoceros属) が減少する一方、羽状目 (Nitzschia属 、Cylindrotheca属) が増殖することが示唆された。今後は、海氷生成過程と取り込まれる植物の現存量との関係を明らかにすることを目標に、観測・実験をしていく予定である。
受賞の感想:
御指導を頂いている皆様、学会の皆様に感謝申し上げます。珪藻学会では初めての発表でしたが、セッション後も有益なコメントを頂きました。受賞を励みに、研究をさらに進めたいと思います。